みなさんはJack Wolfskin (ジャックウルフスキン)をご存じでしょうか。

写真:Mtaylor848, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
タグやデザインに足跡のマークが入っているドイツ生まれのアウトドアブランドです。
Stock HillではそのJack Wolfskinも取り扱っています。

理由は僕たちが好きだから。
調べてみると、このブランドはカナダの荒野で聞いたオオカミの遠吠えから始まっていました。
そして雨風を防ぐ一番大事な素材を、自分たちで作っていました☺︎
なにより、一番好きなのは自然を守るという信念を持っていること!!
ここではその魅力をお伝えします。
橋の上でスカーフを売っていた学生
始まりは、西ドイツのフランクフルト。

写真:高山, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
創業者のウルリッヒ・ダウジンは、フランクフルトの大学で経営を学びながら、午後は街の橋の上でスカーフを売っていたそうです。
お金が貯まると、ルームシェアの部屋を小さなお店にして、テントやジャケット、寝袋を売り始めます。
宣伝は、大学のコピー店に置いた手書きのチラシでした。
やがて彼は「SINE」というお店を開きます。
当時の西ドイツでは最初期のアウトドアショップで、なかなか手に入りにくかったアメリカや台湾の道具を輸入して売っていました。
1979年の広告には、こんな言葉があります。
「バックパッカーのための手頃な道具から、ヒマラヤを目指す人のための遠征の道具まで」
焚き火の向こうから聞こえた、オオカミの遠吠え
やがてダウジンは仕事を離れて、仲間とカナダのユーコンへ旅に出ます。

写真:BLM Alaska, Public domain, via Wikimedia Commons

クロンダイク川とチルクート・トレイル周辺。
仲間と焚き火を囲んでいたある夜、遠くからオオカミの遠吠えが聞こえてきました。
オオカミの毛皮は、厳しい自然から体を守ってくれる。
自分の道具も、そんなふうに使う人を守るものにしたい。
そんな思いから付けられたのが「Wolfskin(オオカミの毛皮)」という名前でした。

写真:ForestWander.com, CC BY-SA 3.0 US, via Wikimedia Commons
そして「Jack」は、作家のジャック・ロンドンから。
ダウジンたちが旅したその土地は、ジャック・ロンドンが小説『野性の呼び声』を思いついた場所だったんです。

こうして1981年、Jack Wolfskinが生まれました。

ちなみに、2023年当時に日本でジャックウルフスキンを扱っていたキャロウェイゴルフの担当者は、インタビューで少し違う話をしています。
創業者は「カナダのユーコン川近くを旅していたときに熊に襲われて怪我をしてしまいました。周辺の集落で療養をしていた際に聞いた狼の遠吠えからインスピレーションを受け、Jack Wolfskinが創業された」というのです。
ブランドが40周年の2021年に出した創業の物語にはクマの話は出てこないので、どちらが本当なのかは分かりませんが、どちらにしろ始まりにあるのは荒野で聞いたオオカミの声です☺︎


「うちでしか手に入らない」防水素材
アウトドアの防水素材といえば、まずゴアテックスが思い浮かびます。
以前書いたEBTEKも、ゴアテックスを使っていました。
👉 [#9.なぜ僕らはEBTEKに魅了されるのか]

でもJack Wolfskinの代表的な防水素材は、自分たちで生み出したものでした。
それが「TEXAPORE」です。

ダウジンは自分の道具を、一番過酷な場所で活動する人たちに試してもらいました。
初期の協力者は、ダウジンがヒマラヤ遠征を支えた登山家ミシャ・サレキや、ドイツの犬ぞりレースの王者。
TEXAPOREは、そんなブランドの最初の大きな発明のひとつです。
ブランドの40周年の発表によると、1981年にはもうTEXAPOREが製品を雨風から守っていたそうです。
公式サイトには、こう書かれています。
「うちでしか手に入らない。TEXAPOREは、雨風から守るためにJack Wolfskinが開発した素材です」
「TEXAPOREを使った製品はすべて、防水・防風・透湿を保証します」
TEXAPOREは、雨も風も防ぐ素材です。

一方で、大雨を防ぐほどではなくていいから、風を止めて動きやすくしたい。
そんなソフトシェルやウインドブレーカーには、風をしっかり防いで小雨をはじく「TEXASHIELD」を使います。
中綿はTEXATHERM、
汗を逃がすのはTEXADRI。
名前に「TEXA」が付く素材を、役割ごとに持っています。
特にTEXAPOREはJack Wolfskinでしか手に入らないので、古着のタグでこの文字を見つけたら、それはJack Wolfskinの服の証拠です☺︎
もちろん、全部が自社素材というわけではありません。ポーラテックのフリースやプリマロフトの中綿など、他の会社の素材も使っています。
それでも、一番大事な雨風を防ぐ部分を自分たちで作った。ここにこのブランドのこだわりが見えます。
1994年、再生紙のカタログ
1994年、Jack Wolfskinはカタログを100%再生紙で刷りました。
100%再生紙のカタログとしては、ドイツで最も多く出回ったもののひとつだったそうです。
そのカタログには、こんな言葉が書かれていました。
「自然の中で暮らすための良い道具を作るブランドとして、次の世代のために自然を守ることは、Jack Wolfskinにとって当たり前のことだ」
さらに、こう続きます。
「Jack Wolfskinのラベルが付いた道具や服は、目先の流行とは無縁です」
「考え方にも、行動にも、ものづくりにも、もっと質を。それが『使い捨て社会』を解決する方法です」
「少しの良い物で暮らしていくこと。それが、消費社会の未来に向けたただひとつの答えです」
30年以上前に、こう言い切っていたんです。
古着屋の僕らにとって、これは刺さりすぎる言葉でした😂
流行で買って、すぐに捨てるのではなく、良い物を長く着て、次の人へ渡していく。
僕らが古着屋でやりたいことを、30年以上前のカタログがそのまま言ってくれていた気がします。
しかも、力を入れているのはそれだけではありません。
このカタログより前の1988年から、Jack Wolfskinはオオカミの保護に力を注いでいます。
そう、名前をもらったあのオオカミです☺︎
オオカミの研究者クリストフ・プロムベルガーとは、そこからずっと協力関係を続けています。
彼が2009年に立ち上げた、カルパティア山脈の自然の生態系をまるごと守り、よみがえらせるための財団も、
Jack Wolfskinが支援しています。
これを読んで思い出したのが、以前書いたオービス。オービスは自然保護の考え方を、こう掲げています。
「自然資源の恵みを受けるのなら、私たちはそれを守るために行動しなければならない」
その言葉どおり、オービスは1987年から、税引前利益の5%を自然保護に寄付し続けています。
アメリカの老舗のオービスと、ドイツのJack Wolfskin。
生まれた国も時代も違うのに、自然の中で遊ぶ道具を作る会社が、同じことを言っているんです☺︎
👉 [#4.なぜ僕らはOrvis(オービス)に魅了されるのか]

Jack Wolfskinのこの考えは、TEXAPOREにもつながっていきます。
2018年、ブランドは「TEXAPORE ECOSPHERE」を打ち出します。
表地、防水の膜、裏地まで、すべてリサイクル素材で作った防水透湿のジャケットです。

Jack Wolfskin自身はこれを「業界初の、完全にリサイクルされた防水透湿ジャケット」と説明しています。
たとえばあるジャケット1着に使われたのは、ペットボトル21本近く。
さらに、PFC(有機フッ素化合物)も使っていません。
このシリーズの2-in-1ジャケットは、裁断で出た端切れやリサイクルポリエステルだけで作った雨具として、スポーツ用品の国際見本市「ISPO」で金賞を受けたそうです。
自分たちで生み出した素材を、自分たちの手で環境に優しい形に変えていったんです。
なぜ僕らが魅了されるのか
Jack Wolfskinの何に、僕らは魅了されるのか。
めちゃくちゃ厳しい荒野でオオカミの声を聞いた創業者は「あの毛皮のような道具がほしい」と思った。
そこからTEXAPOREを中心とした雨風を防ぐ素材を自分たちで作った。
さらに30年以上前から「次の世代のために自然を守るのは当たり前」と自然と環境保護のための行動をし続けている。
知れば知るほど、服だけじゃなくその生き方ごと好きになってしまう。
心から尊敬できるブランドです☺︎
以前、こんな記事を書きました。
👉 [SDGsが叫ばれる時代に、Sheinが売れ続けた。人と服が地球を傷つける中、古着屋の僕たちにできること]

僕らも自然の中で暮らすための服を売っている以上、自然を守るために何かをしたい。
そんな思いでStock Hillは、売上の1%を埼玉の自然保護に寄付しています。
タグに足跡のマークを見つけたら、ぜひ手に取ってみてください。
参考:Jack Wolfskin公式サイト(TEXAPORE、技術紹介)、Highsnobiety(Jack Wolfskin提供記事、2021年)、GearJunkie(Jack Wolfskin提供記事、2018年)、fashion tech news(2023年)、Wired For Adventure(2018年)、Orvis公式サイト(Conservation Mission Statement、Impact)

