
ランズエンド(Lands’ End)というブランドをご存じでしょうか
古着好きなら知っているかもしれないし、そうでなければ聞いたことすらないかもしれません。
Stock HillではLands’ Endをたくさん取り扱っています。
理由はシンプルで、僕たちが好きなブランドだから。
ここではその魅力と歴史をお伝えします。
アポストロフィの位置が間違っている
1963年、アメリカ・シカゴ。
広告コピーライターのゲーリー・コマーは、生命保険を担保に借りた5,000ドルを元手にヨット用品の通販会社を立ち上げました。
最初のカタログを刷り上げたとき、社名のアポストロフィの位置が間違っていることに気づきました。本来は「Land’s End」のはずが「Lands’ End」になっていた。

しかし全冊を再印刷する資金がなく、そのまま世に出ることになりました。そしてそれが今も変わらず正式なブランド名になっています。
コストを優先した結果が、60年以上変わらないブランドの顔になっているというのが面白いですよね。細かいことを気にしすぎなくていいんだなと、このエピソードを知るたびに思います。
セーリングから、街へ
1970年代、ランズエンドはヨット用品の比重を下げ、衣料品へとシフトしていきます。1978年には最初のアパレル商品となるオックスフォードボタンダウンシャツを発売しました。
セーリングという看板は降ろしながら、その文化が持つ精神はそのままにアパレルへ落とし込んでいった。これが今でも伝わってくる品質と誠実な価値の源だと思っています。
アウトドアブランドっぽいのに、アウトドアブランドではない。でもヨット用品から始まったブランドなので、機能性がちゃんとある。手に取ったときの「なんかいいな」はそこからきているんじゃないかと感じています。
DIRECT MERCHANTSという哲学
創業者のコマーはもともとコピーライターでした。だからランズエンドのカタログの文章が他と違った。スペックを並べるのではなく、友人に話しかけるような文体で服の背景や素材へのこだわりを語る。全商品への無条件保証も早くから導入していました。
1982年には「DIRECT MERCHANTS」というキャッチフレーズを掲げ、お客さまが困ったときに直接連絡できることを強みにしました。タグにも「Direct Merchants」の表記が残っています。

コマーの言葉がこれです。
この考えにとても共感しました。お客さまを第一に、次に身の回りの人を大切にする。
シンプルだけど、それを本当に体現し続けたブランドだったと思います。
スコールジャケット|ランズエンドを一枚で語れるアイテム
ランズエンドの魅力を一枚で説明できるアイテムがあります。1983年の発売以来ベストセラーであり続けている、スコールジャケットです。
「スコール(squall)」はセーリングの世界で使われる言葉で、突然やってくる暴風雨のこと。
荒天のデッキ上で身を守るための防水性・防風性を備えた本格的なギアとして生まれました。
耐久性のあるナイロンシェルと、体温を守るフリース裏地を組み合わせたデザインはまさにセーリングの現場から着想を得たものです。
機能性はもちろん、スコールジャケットの独特な色使いが最高です。
ブランドの説明なんかしなくても、手に取った瞬間に伝わる服がある。Stock Hillに置くたびに、そう確認させてくれる一着です。
シアーズという重荷
2002年、ランズエンドは大型チェーンのシアーズ(Sears)に20億ドルで買収されました。アメリカ中の店舗に並ぶようになり、知名度は上がりましたが、シアーズ自体が業績悪化していきます。
2014年に独立上場を果たしたものの、2019年にシアーズが経営破綻。それに巻き込まれ、店内のLands’ Endコーナーもすべて閉鎖されました。
好きなブランドがこういう経緯をたどっているのを知ると複雑な気持ちになります。品質や哲学とは関係ないところで、会社は動くんだなと。
日本上陸と撤退|知られざる30年
1993年から日本での通販事業をスタートさせたランズエンドは、新横浜に日本法人を置き、日本人の体型に合わせた「ジャパンフィット」のサイズ展開まで手がけていました。
しかし2022年9月に撤退を発表、同年12月31日をもって日本事業を終了しました。撤退を知って初めて服を買い、品質に驚いて大人買いをしたという声がネットには溢れていたそうです。
なくなってから気づく良さ。古着の話と似ていますよね。
2026年、ランズエンドに起きたこと
そして2026年1月、決定的なことが起きました。Lands’ Endがブランド管理会社のWHPグローバルに、「Lands’ End」という名前そのものを3億ドルで売ったのです。
理由はシンプルで、約350億円の借入金を返すために自分の名前を売るしかなかった。これからのLands’ Endは自分の名前を使うたびにWHPにお金を払わなければなりません。自分たちが作ったブランドなのに。
会社は存続していますが、ゲーリー・コマーが作ったLands’ Endという意味では、事実上ブランドが終わったと思っています。
それでも、服は残る
ブランドが消えても、服は残ります。
古着屋に、誰かのクローゼットに、Stock Hillに。
セーリングを背景に60年以上かけて作り続けられてきた服。流行を追わず、ただ「いいものを作る」を続けた結果がそこにある。
僕たちがLands’ Endに魅了されるのは、たぶんそういうことだと思っています。
Official Website
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