
カベラス(Cabela’s)をご存じでしょうか。
アメリカのアウトドアブランドとして知っている方もいれば、古着でタグやロゴを見かけたことがある方もいると思います。
Stock HillではCabela’sも取り扱っています。
理由は僕たちが好きなブランドだから。
ここではその歴史と魅力をお伝えします。
1961年、キッチンテーブルから始まった
ネブラスカ州チャペルという人口2,500人の小さな農村に、ディック・カベラという一人の男がいました。父親が営む家具店を手伝いながら、釣りと狩猟を愛する普通の若者でした。
ディックが商人としての哲学を学んだのは父親からでした。
大恐慌を生き抜いた父は、現金がない農家にも担保なしで商品を売り、「払えるときに払ってくれればいい」と握手だけで契約を交わした。
その姿を見て育ったディックは
「良い品を適正価格で、顧客サービスを徹底すれば、顧客は戻ってくる」
という哲学を体に染み込ませていきました。
ポリオを乗り越えた男
ディックが強靭な意志を持っていたのには理由があります。
幼い頃にポリオにかかり、医師は両親に「この子は二度と歩けないかもしれない」と告げました。

しかしディックは何度も地面から這い上がり、最終的に補助具なしで歩けるようになりました。
諦めない、この気質がやがてカベラスを作ることになります。
たった1通の注文から
1961年、ディックはシカゴの展示会で手結びのフライ(毛鉤)を2.25ドルで見つけました。「これだ」と思い購入しましたが、ネブラスカの田舎町ではなかなか売れませんでした。
そこで地元紙に「12個のフライ、1ドル・送料込み」という広告を出しました。
するとアーネスト・リンダール夫人からたった1件の注文が入りました。ディックはこれを「売上100%増」と捉えました。
次にアメリカ全国のアウトドア専門誌に「無料で5個のフライを差し上げます。ただし送料25セントをご負担ください」と広告を打つと、アメリカ中のアウトドア好きが飛びつきました。
注文処理はすべて妻のメアリーが担いました。
顧客の住所はレシピカードに書き、小麦粉やオーツの横に保管しました。
そのカードの山がカベラスの顧客リストの原型になりました。
深夜1時、隣の部屋で赤ちゃんが泣いている中、封筒を開け続けた。1回の注文で利益はわずか11セント。
それでも続けました。
Cabela’s(カベラス)が「World’s Foremost Outfitter」になった理由
ディックは『100%満足保証』を掲げた。
返品・返金を保証するこの姿勢が、カタログで商品を買うことへの不安を取り除き、全国に顧客を生んだ。
大学の講演でこう語っている。
「秘密でも何でもない。単純なことだ。
自分より賢い人たちに囲まれていればいい。そして人を自分がしてもらいたいように扱え。それだけだ」
そしてディックが生涯、名刺の裏に持ち歩いた詩がある。
デール・ウィンブロウ作『ガラスの中の男(The Man in the Glass)』
世界中の人を騙すことはできても、鏡の中の自分だけは騙せない
どれだけ世間から称賛を受けても、どれだけ成功を収めても、最後に鏡を覗き込んだとき、そこに映る自分の目をまっすぐ見られるかどうか
——それだけが本当の評価だ。
そういう内容の詩だ。
こういうお客さまを第一に考えて、100%で行動することがめちゃくちゃ大事で、実は以前紹介したL.L.BeanもOrvisも、創業期から同じ「100%満足保証」を掲げていた。僕らが好きなブランドには共通の哲学があり、カベラスも同じだ。


「ネブラスカに魚はいるんですか?」
カタログビジネスが成長するにつれ、仕入れが課題になりました。
ディックとジムは釣具メーカーの展示会へ向かいましたが、ブースからブースへと追い返され続けました。
「ネブラスカには流通できない」
「そもそもネブラスカに魚はいるんですか?」と鼻で笑う担当者もいました。
最終的にたどり着いたGarcia社の担当者だけが言いました。
「今すぐ現金を払わなくていい。5,000ドル分の釣り具を持って行って、後で払ってくれ」。
希望と根性でその取引を受け入れ、数ヶ月後には売り切れて再注文の電話をかけました。
やがてネブラスカに魚はいるのかと笑った多くのメーカーが、何百キロも車を走らせてカベラ兄弟に自社製品を売り込みに来るようになりました。
店舗が観光地になった理由
カタログビジネスで成長したカベラスはやがて実店舗を展開し始めました。
各店舗の中央にそびえる「コンサベーション・マウンテン」は滝が流れ、クマやムースなど北米の大型動物が生息地ごとに配置されています。
さらに生きた魚が泳ぐ大型水槽、高級銃を試せるガン・ライブラリー、屋内アーチェリーレンジまで揃えました。
「アウトドア用品を買いに行く場所」ではなく「体験しに行く場所」として設計されたカベラスの店舗は、各地で観光地になっていきました。
Bass Pro Shopsとの合流——Cabela’s(カベラス)は今どうなっているのか
2017年、Bass Pro Shopsが45億ドルでカベラスを買収した。
アウトドア業界最大規模の合併だった。
現在もカベラスブランドは継続しており、Bass Pro Shopsの傘下でアメリカ・カナダに多数の店舗を展開している。
合流後、両社は「Bass Pro Shops & Cabela’s Outdoor Fund」を設立。
1ドルのうち97セントが直接保護活動へ回る非営利基金で、レジで端数を寄付できる仕組みを通じて年間2,000以上の自然保護プロジェクトを支援している。
過去5年間の寄付総額は1億ドル以上にのぼる。
一方、カベラ家はブランド売却後も独自の自然保護活動を続けている。
ディックとメアリーが設立した「カベラ・ファミリー財団」は、息子のダンがエグゼクティブ・ディレクターとして運営している。
財団の設立理由について、公式サイトにはこう書かれている。
「ディックとメアリーは自然への深い愛と信仰心を持ち、アウトドアでの体験に特別な意味を与えてきた。その恵みが何世代にもわたって享受できるよう財団を設立した」
財団の活動は世界規模だ。
内戦と密猟で壊滅したモザンビークのライオンの個体数を回復させる「24 Lions」プロジェクト、
同じくモザンビークのザンベジデルタにチーターを再導入する「12 Cheetahs」プロジェクトなど、
アフリカの生態系再生にも取り組んでいる。
2022年には、Discovery Channelで「Hard Truths of Conservation(自然保護の厳しい現実)」の放送を開始した。
狩猟は現代社会では否定的に見られることも多い。
しかしカベラ家が創業当初から信じてきた
「自然の恵みを享受する者はそれを守る責任がある」
という哲学——
ハンターこそが自然保護の担い手だという考えを、世界中に伝えたい。
その思いが番組を生んだ。現在もDiscovery ChannelとAnimal Planetで放送中だ。
11セントの利益から始まった積み重ねが、古着として今ここにある
ポリオを乗り越え、11セントの利益から始め、3人がそれぞれの本業を抱えながらキッチンテーブルを囲んだ。
その積み重ねが、古着として今も残っています。
僕たちがCabela’sに魅了されるのは、たぶんそういうことだと思います。
📍 埼玉県北葛飾郡杉戸町下高野2376-3
🕘 24時間365日営業(無人)



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